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「いてぇなっ!」
がっと私は起き上がった。そこには見たことのある風景。なじみのある物。
「ここは・・・」
そこは私の部屋であった。すっかり汗をかいている。私は夢でも見ていたのだろうか?それにしてはリアルすぎる夢だったような気がする。少し間があって、自分で自分の出来事を整理していった。駅を降りて、自転車に乗り、何か考えていて、何かがぶつかって・・・これは夢だったのか?私は髪を掻き揚げた。袖を見ると寝巻きではなく、昨日の服そのままだった。
「疲れて眠ってしまったのか・・・」
どうやら私は相当に酔っ払ってでもいたのだろうか。昨日の記憶が断片的にしかない。どうやって家にたどり着いたのか。とりあえず服を着替えることにする。
もし、昨日起こったことが夢で無いなら私はけがをしているはずだ。夢でしかありえないのだ。私はそう自分でいいながらもどこか腑に落ちなかった。私が意識も無く、家に帰っていることなどなかったからだ。私は何か大切なことを忘れているような気がした。昨日起きたことの中に・・・
着替えが終わると、そのまま朝食の準備をし、仕事に行く準備をした。世間では非常にさまざまな事件があるようだ。殺人、強盗、賄賂・・・世の中の闇が、光を当てられる時期もあるのだ。そう思いつつ、私は日常の生活に戻りつつあった。
仕度も終わり、私は家を出た。やはりいつもと変わらない。私の家は、一人暮らしをしている人が大半のマンションである。私の部屋は3階である。3階なので、エレベータをわざわざ使うより階段の方が早い。それに階段を下りた先には自転車置き場もある。私はさっさっさと階段を下りていった。なんだか身軽な気がした。
いつものように自転車置き場に着いた。私はいつも私が止めているところへ行く。ところが、そこにはいつもと違う光景があった。私の自転車が無い。
「昨日、駅に自転車置いたまま帰ってきちゃったかな」
記憶がなかったのだ。仕方があるまい。私は歩いていくことにした。
自転車置き場を出ると、いつものように掃除のおばちゃんが掃除をしていた。私は軽く会釈しながら、
「おはようございます。」
といった。当然のように挨拶が返ってくる・・・・・・はずであった。
その日に限っておばちゃんは挨拶をしてくれない。私がいつも自転車に乗っているので、私だとわからないのだろうか?だが普通気付いてもおかしくないものである。私はすこし不快に思った。
いつものように、とはいえ、自転車ではないのだが、歩いて駅に向かった。歩くと駅というものは結構遠い。これほど遠かっただろうか?それとも私の体力が落ちているのかも知れない。いつものように学生が飛び出してくる。車は信号を待つ。私も信号を待つ。いつか彼らはひかれてしまうのだろうか?学校では注意を促してはいないのか?そんなことを考えながら私は歩いていた。
次の信号を渡れば自転車置き場である。私は自転車が本当にあるかどうか確かめてから行こうと思った。もし、盗まれていたら厄介である。
次の信号まで来た。地面にはガラスの破片が飛び散っている。わずかながら血痕のあともその場からみえた。
「昨日、ここで事故でも遭ったのかな。かわいそうに。」
そう思っていると、道路のはしっこにぐしゃぐしゃになった自転車が置いてあった。恐らくあの持ち主が引かれたのだろう。自転車の変形具合から言って、右サイドからかなりの勢いで衝突されたと見える。あれほどの力でぶつかられたのであれば、その持ち主は助からないのではないのか?
そう思いつつ、信号を渡る。遠目ではよくわからなかった自転車の横をとおる。私はその自転車をみて、思わず息を呑んだ・・・
その自転車は私の自転車だった。どういうことだろう?私の自転車が事故に遭っている。しかし、私はこうして今出勤途中だ。私は昨日たまたま自転車に乗らずに歩いて帰ったから事故に遭わずに済んだのだろうか?ではこの自転車に乗って事故をしたのは一体?自転車は使い物になりそうない。恐らく警察が調べて持ち主がわかれば私のところに来るだろう。今は警察に行っている暇は無さそうだ。仕事が終わってからでいいか。私はそう思って駅へむかった。
物騒なことがあるものだ。と思って歩いていた。次の角を曲がった。昨日夢で歩いた道だ。何かここであったような気がした。何があったかは思い出せない。そのまま歩いていた。昨日は雨だったせいもあり、まだこの辺は地面がぬれている。やはりマンションが邪魔して日陰になっているからであろうか。その影の中に私はある男の姿が目に入った。その男は、目の前のマンションを眺めていた。まるでその建物に何か未練でもあるかのように。
私は何か知らぬ恐怖をその時に覚えた。私はこの男を見たことがある。そんな気がした。それと同時にこの男とかかわると私の人生を狂わされるかのような気がした。私はその男の後ろを一気にとおりすぎようとした。まさに男の後ろに差し掛かったとき、
「よう。おかえり。やっぱりおまえさんもか」
男はそういった。そして私は背中に寒気を覚えた。彼は私を知っている!
To be continued
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専攻は国文学で、「諏方縁起」を中心に研究を進めていました。
しばらく、更新していなかったのですが、やっとこさログインできるようになったので、更新していこうと思います。