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 「おまえは・・・」

 私は考えた。私はこの男を知っている。以前この男にあっている。しかしどこでだ?まさかここでか? 
 「やっぱりおまえさんもか」
 「何の話だ?」
 「おまえさん、自分の現状がわからないのかい?」
 「わかっているさ。今から俺は出勤するのさ。」
 「ふっ。やっぱりわかっちゃいねぇな。」
 「どういうことだ?」
 男は体をこちらには向けず、顔だけこちらにむけてこういった。そして、かなりにやついた顔でこう続けた。
 「おまえさんが、出勤したところで誰もおまえさんに気付きはしない。おまえさんの姿はもう普通の人間にゃぁ見えないのさ。おまえさんはもう死んでいるんだよ。俺と同じ幽霊さ。」 
 「・・・・・・」
 「まぁ、誰だって最初は信じられないさ。だがそう落ち込むことはねぇ。これから徐々に慣れていけばいいんだからよ。」

 私は何も答えなかった。ただ驚いたから?落ち込んだから?いや、そんなことはこれっぽちも思わなかった。
 「・・・ぷっ。はっはっはっは!何を言い出すかと思えば、そんな話誰が信じる?そんな夢や本みたいな話信じられるわけが無いだろう。俺は現にこうやって朝起きて出勤しようとしている。朝食だって食べたし、朝掃除のおばちゃんにだって・・・」

 私はふと思い返した。彼の言葉が本当だとしたら?掃除のおばちゃんは私を無視したのではなく、私が見えなかった?いやだが、おばちゃん一人くらいでそんなことが言えるだろうか?たまたまだということもあろう。だが、それはそうとして、私は何故この男が見えるのだ?いや、他の人にも見えているに違いない。この男が奇妙なことをいっているのだ。どうせたちの悪いいたずらだろう。こういうのは無視するのがいい。

 「私は、そんなおとぎ話は信じないので。では、遅れるといけないから失礼するよ。」
 私は丁寧に断って、彼のもとを去ろうとした。
 「勝手にするがいいさ。自分の立場は仕事場に行けばはっきりするだろう。何か困ったことがあったら俺のところに戻ってきな。先輩幽霊として何かアドバイスしてやれるかもな。まぁ、こんなこと言わなくても、おまえさんは必ず俺のところへ来るさ。必ずな。」

 私は正直、気味が悪かった。せっかくのすがすがしい気分が台無しだ。学生に戻った気分だったのに。幽霊だのいうからなんだか一気に年を取ったような気がした。

 私はそのまま駅改札口に着いた。
 「しまった。定期を忘れてしまった。いつもポケットに入れるのに今日に限って・・・」
 大体忘れ物をしたときに誰もが思う言い訳を思ってしまった。とりあえず仕方がないので切符を買う。定期でいつも済ましていたので、仕事場までいくらかかるのか覚えてなかった。
 「えっと・・・あぁ・・・390円か」
 割りと直ぐに見つかった。財布は幸い持っていた。だが、私は驚いた。財布に血がついている。
 「こんな血どこでつけたんだろう?」
 気味が悪いがそれほど気にもとめなかった。私はもともと血などみてもなんとも思わない性質だからだ。切符を買おうとお金を入れた。ところがおかしなことに、切符販売機が動かない。見ると、センサーが反応していないみたく、人がいない状態となっていた。
 「全く、調子の悪い機械だ。横のやつはさっき買っていたから使えるだろう。」
 私は少々不満に思いながらも横の機械で切符を購入した。切符を手に持って、改札を通り抜けた。バタンッ。改札が勢いよく、開く音だ。駅員さんの「ありがとうございます」が聞こえる・・・はずだった。駅員さんは言葉を途中まで言って、不可解そうな顔をしている。何も切符で通ったからといってそんな顔をする必要がないだろう。

 そのままエスカレータにのり、ホームにつく、電車はいつもどおりの人だった。私はいつも自分が立つ場所に行きそこにたっていた。電車にゆられること10分。駅に到着した。電車を降り、改札を通り抜ける。そしていつもの通勤路へとついた。

 私が歩いていると前方に、同僚の有田の姿が見えた。有田は入社したのが同期である。仕事上、プライベートにかけ、彼が私の一番親しい友人である。私は後ろから少し早歩きで彼に追いついた。
 「おはよう。」
 「あぁ、おはよう・・・って、え?」
 彼は私を見るなり、非常に驚いている。
 「どうした?顔に何かついているか?」
 彼は目を丸くし、口をぽかんとあけている。
 「お前、どうした?なんか若返ってないか?まるで高校生みたいだぞ?」
 「おいおい、何を言っているんだ?俺は俺だよ。昨日と何も変わりはしないさ。今日は朝気分が良かったからそのせいじゃないか?」
 「それだけで、こんなにも変わるか?お前、今日朝鏡みたか?本当にいつもと違うぞ。」
 彼はあまり細かいことにこだわる性格ではない。それがやけに今日に限ってこだわる。
 「あぁ。見てないや。会社に着いてから見てみるよ。」
 私は彼にそういって、彼とたわいも無い会話を交わしつつ、会社へとたどり着いた。

                                                To   be   continued

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葡拿寡
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男性
誕生日:
1987/12/02
職業:
大学院生&塾講
趣味:
読書
自己紹介:
大阪市内に住む大学院生です。
専攻は国文学で、「諏方縁起」を中心に研究を進めていました。

しばらく、更新していなかったのですが、やっとこさログインできるようになったので、更新していこうと思います。
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